スポンサーリンク

喉鳴り(喘鳴症)について

出資馬が喉鳴りを発症したりしたら不安ですよね。ネットで喉鳴り、ノド鳴り、喘鳴症等のワードを駆使してなんとか情報を得ようとして、この記事にも辿り着いたのでしょう。今まで出資馬が喉鳴りになる度に沢山調べてきた私の知識をシェアします。

喉鳴りとは

様々な原因で、馬の咽頭が狭くなる事で呼吸がし辛くなり、悪化すると競争能力の大きな影響を与えてしまう現象の事。咽頭が狭くなることで呼吸音が聞こえてくるのですね。(口笛と同じような要領だと思います)憶測は色々あるけれど原因は未だにわかっていないようです。
また、音が鳴っても競争能力にさして影響を及ぼさないケースも見受けられるみたいですね。(参考文献→西塚助手の話

喉鳴りの種類

喉鳴りと言っても色々な種類があります。自分が知る限りでは下記の3つが代表例かと思います。

・咽頭片麻痺
・軟口蓋背方変位(DDSP)
・喉頭蓋エントラップメント

主に喉鳴りと言われているのは一番上の咽頭片麻痺という印象です。次に各喉鳴りについて詳しく説明していきます。

咽頭片麻痺

咽頭片麻痺はダイワメジャー、ハーツクライ、ゴールドアリュールが代表的ですね。手術が最高に上手くいったパターンとしてダイワメジャーが挙げられ、ハーツクライとゴールドアリュールは逆に引退に追い込まれました。大型の牡馬が罹患リスクが高いようです。
咽頭の主に左側の軟骨が麻痺して気道を塞ぐため、もしも競争能力に影響を与えるレベルの喉鳴りを患ってしまったら、現在は回復するには手術しかないという状況です。その手術も麻痺した軟骨を糸で固定して気道を確保するものらしいです。手術が成功したとしても経年劣化で糸が緩んで再度喉鳴り・・・というケースもあるみたいで成功したから安心という事にはならない模様です。難しいですね・・・。過去に自分が読んでいたものでは喉鳴りの手術は何度も出来ない(記憶では2回出来ない)という記述だったのですが、最近では技術が上がってきたのか2回目の喉鳴り手術をするケースも見られます。

手術等の予後については下記の文献が参考になります。

参考文献
サラブレッド 302 頭の喉頭片麻痺に対する喉頭形成術の術後成績に関する回顧的調査(PDF)

引用

手術の難しい点は、馬の「のど」の構造は各々の馬でみな異なるという点です。現在までに 500 頭近い喉頭形成術を行ってきていますが、どれ一つとして同じものはありません。後にも述べますが、このことが手術の成功・不成功に大きな影響を与えているのではないかと思っています。

→ひとつとして同じケースが無いことから知識の蓄積がしにくく、手術の成否がある程度運任せになりそう。

手術した症例の性別は、雄 249 頭、雌 36 頭、騸馬 17 頭でした。500kg を超える大型の雄馬に多く認められたことは、過去に JRA が実施した疫学調査に一致していました。

→牡馬、大型馬は喉鳴りのリスクが高まるというデータ。

術後初出走までの日数は 53~626 日(平均 214.2 日、中央値 185 日)で、様々な理由で 2 歳馬では、初出走までに長い期間を要する傾向が認められました。

→出走までだいたい6ヶ月くらい掛かりますよという目安。ノーザン系はもう少し掛かる印象あります。

術後の出走回数は 1~87 回(平均 14.7 回、中央値 10 回)でした。術後の競走成績の良くないものは、当然出走回数も少なくなります。
術後どれくらいの期間、競走馬として供用できたかを調べるために、引退した 216 頭で手術から最終レースまでの日数を調べたところ、101~2617 日(平均 644.5 日、中央値 488 日)でした。これも出走回数と同様ですが、手術がうまくいった症例では相当期間、競走馬として活躍することができたと言ってよいと思います。

→手術したとして何回くらい使えるかという話。結局は運頼みの成否で良い目が出れば結構走れるよという感じですかね。

正直に言っていまだに、「何が良くてうまくいって」、「何が悪くてうまくいかなかったのか」がはっきり分からないのが現状です。

→結局よくわからないというのが本音っぽいです。

軟口蓋背方変位(DDSP)

主な罹患馬はベルシャザールやリオンディーズ。主に若駒が発症するらしいです。若駒の頃は咽頭蓋が未発達なのが原因でだいたいは成長と共に完治するらしい。ベルシャザールもリオンディーズも発症後にG1勝っているし、咽頭片麻痺と比べるとだいぶ希望はあるように思います。とはいえ、完治しない場合もあるみたいでその場合は手術が必要になるケースもあるそう。その場合の成功率は60~70%程度のようです。
咽頭片麻痺と比べるとはるかにマシとはいえ、若駒時代に罹患する率が高いのでデビューは遅れる傾向があります。トレーニングが出来なくなるから当然ではあるか。
イメージとするとだいたいは時間経過で治るけど1勝してない状況だとタイムリミットまでの短い時間が削がれてしまうのが辛いところといったところか。競争能力のスポイルはあまり感じられない。

喉頭蓋エントラップメント

主な罹患馬がシーキングザパール、リンカーン、クルーガーあたり。基本的にかんたんな手術で終わるらしく、予後も良好のようです。リンカーンはすみれSで発症もダービーに間に合ったレベル、クルーガーに至っては10月29日に手術を行い、同年の11月9日にレースで走っています。(さすがに負けましたが)その後、国内に戻って重賞も勝っていますし、能力が落ちた感じもしないですね。喉鳴りと聞いても咽頭蓋エントラップメントなら気持ち的には楽ですね。

さいごに

かなり昔に調べていたのですでに記事のリンクがなくなっているものも結構ありました。そういう状況なので記憶を頼りに書いた部分もあります。ただ、大体のイメージは今回書いたもので間違っていないはずです。
自分が関わった馬が喉鳴りになると、もしそうでなかったらどれだけやれたんだろうというような無念さがありますよね。こういう思いが少しでもなくなるように早く手術の技術が進歩してほしいなと思いますね。(記事に書いたとおりかなり難しいみたいですが・・・。)

コメント

タイトルとURLをコピーしました